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COLUMN コラム詳細

【マツダの脱Excel・データ一元化に学ぶ】AI活用の前に「データの一元管理」が必要な理由|社内データをAIが使える状態にする方法

将来のAI活用を見据えた、社内データ管理と業務システムの考え方

2026-10-15

生成AIをはじめとするAIの業務活用が広がるなか、「自社に蓄積されているデータをAIに活用したい」と考える企業も増えています。

しかし、AIの性能が高ければ、社内にあるデータをそのまま有効活用できるわけではありません。

顧客情報は基幹システム、案件情報はExcel、過去の資料はPDF、業務ノウハウは担当者ごとのファイルなど、データが社内のさまざまな場所に分散していると、AIが必要な情報を検索・参照しにくくなります。

マツダでは、車両開発におけるExcel中心の情報管理から脱却し、開発データの一元管理を進めています。その目的は業務効率化だけではありません。データを一元管理し、AIが学習や検索に利用しやすい環境を整えることで、開発業務におけるAIの活用範囲を広げる狙いもあります。

AI導入を検討するとき、AIそのものに目を向ける前に考えておきたいのが、「自社のデータはAIが使える状態になっているか」という点です。

本コラムでは、AI活用とデータの一元管理の関係や、将来的なAI活用を見据えた業務システムの考え方について解説します。

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【記事要約】マツダが「脱エクセル」、データ一元化で開発効率化とAI活用を推進

マツダは、車両開発におけるエクセル中心の情報管理を見直し、開発データの一元管理を進めている。従来はエンジニア1人が数百ものシートを扱い、情報の更新や連携をコピー・アンド・ペーストなどの手作業に依存。変更時の修正や不具合発生時の影響範囲の確認にも時間を要し、情報管理に開発業務の約6割が費やされていた。新たな管理ツールでは、要求や設計、試験などの情報をまとめて管理し、変更の影響も追跡しやすくする。さらに、データを整理・集約することでAIが学習や検索に利用しやすい環境を整え、開発業務におけるAIの活用範囲を広げる狙いもある。

出典:日本経済新聞「マツダ、脱エクセルで車開発短く データ管理を一元化 搭載ソフト更新にらむ」2026年9月7日付朝刊

ポイントをひとことで

AI活用を考えるとき、最初にAI製品を選ぶ必要はありません。先に考えるべきなのは、自社がどのようなデータを持ち、それを日々の業務で正しく蓄積できているかです。データがExcelや複数のシステムに分散したままでは、高性能なAIを導入しても十分に生かせません。システム投資では、現在の業務を便利にするだけでなく、数年後にそのデータを検索・分析・AI活用できるかまで考えておくことが重要です。将来使えるデータを日々の業務から蓄積できる仕組みを作ることが、AI活用への着実な準備になります。

AIを導入すれば社内データを活用できるわけではない

「社内には何年分ものデータが蓄積されているので、生成AIを導入すればさまざまな業務に使えるのではないか」と考えることがあります。

しかし、「データが存在すること」と「AIが利用できること」は別の話です。

例えば、営業部門では顧客情報をCRMで管理し、案件情報はExcel、生産部門では別の業務システム、過去の見積書や報告書はPDF、担当者のノウハウは個人フォルダに保存されているとします。

人であれば、「この案件について調べるなら、まず案件管理表を見て、詳細はこのフォルダにある資料を確認しよう」と判断できるかもしれません。

しかし、AIに業務を支援させるためには、必要な情報へアクセスでき、どの情報を参照すべきなのか判断できる環境が必要です。

データが大量にあればAIを活用できるのではなく、必要なデータをAIが利用できる状態にすることが重要なのです。

社内データが分散しているとAI活用が難しくなる

長年業務を続けている企業ほど、データが複数の場所に蓄積されていることがあります。

例えば、顧客に関する情報だけでも、顧客管理システム、営業担当者のExcel、見積システム、メール、PDFの契約書など、複数の場所に存在することがあります。

さらに厄介なのが、同じ情報が複数の場所に存在しているケースです。

顧客の住所が変更され、顧客管理システムでは新しい住所に更新されている一方、営業部門のExcelには以前の住所が残っていたとします。

この状態では、「どちらが正しい情報なのか」を判断しなければなりません。

AIについても同様です。

AIが古い情報や誤った情報を参照すれば、その情報を基に回答や提案を行ってしまう可能性があります。

そのためAI活用では、単に多くのデータへアクセスできるようにするだけでは不十分です。

どこに正しい情報があり、どのデータを参照すべきなのかを明確にする必要があります。

データの一元管理とは「一つの場所に集めること」だけではない

データの一元管理というと、社内にあるすべての情報を一つのデータベースへ集めることを想像するかもしれません。

しかし、大切なのは物理的に一か所へ集約することだけではありません。

重要なのは、業務で利用する情報について「どのデータを正しい情報として扱うのか」を明確にすることです。

例えば、顧客情報であれば顧客マスター、商品情報であれば商品マスター、案件情報であれば案件管理システムなど、基準となるデータを決めます。

そして、複数の業務で同じ情報が必要になった場合には、それぞれの担当者が同じ内容を入力するのではなく、基準となるデータを参照できるようにします。

これによって、データの重複や更新漏れを減らしやすくなります。

AIにとっても、参照すべき情報が明確になれば、必要なデータを検索・利用しやすくなります。

AI活用を見据えたデータの一元管理では、「データを集めること」ではなく、「信頼できるデータを継続的に利用できる状態にすること」が重要です。

Excel中心の管理ではAI活用の前にデータ整理が必要になることがある

Excelは柔軟性が高く、多くの企業で利用されている便利なツールです。

一方で、部門や担当者ごとにExcelファイルを作成していると、同じ種類のデータでも管理方法が異なることがあります。

例えば、ある部署では商品コードを「A001」と入力し、別の部署では商品名だけを入力しているとします。

日付についても「2026/9/1」「2026年9月1日」など、入力方法が統一されていないケースがあります。

人がExcelを見るだけであれば意味を理解できても、データをシステムやAIで継続的に活用しようとすると、このような違いが問題になる場合があります。

また、Excelでは自由に列や項目を追加できるため、担当者ごとに管理項目が変わっていることもあります。

AI活用を考える際には、「Excelにデータが入っているから使える」と考えるのではなく、どのような項目で管理され、どの程度統一されているのかを確認する必要があります。

AIが使いやすいデータを業務のなかで蓄積する

AI活用のために大量のデータを一度だけ整理しても、その後の業務で再びバラバラに保存されてしまえば、同じ問題が繰り返されます。

そこで重要になるのが、日々の業務を通じてデータが整理された状態で蓄積される仕組みです。

例えば、営業案件についてAIを活用したい場合を考えてみます。

案件名、顧客、担当者、商談内容、提案商品、見積金額、受注・失注、失注理由などが統一された方法で蓄積されていれば、将来的にさまざまな活用が考えられます。

過去の類似案件を検索したり、担当者が過去の提案内容を探したり、蓄積された情報を基に提案を支援したりすることも可能になります。

逆に、案件情報が担当者ごとのExcelやメール、議事録、個人フォルダに分散していれば、AIを導入する前に必要な情報を探して整理する作業が必要になります。

AI活用を見据えたシステム開発では、「AIに何をさせるか」だけではなく、「そのためにどのようなデータを日々蓄積するか」を考えることが重要です。

AI活用ではデータの「量」だけでなく「質」も重要になる

AI活用というと、「大量のデータを蓄積すればよい」と考えてしまいがちです。

しかし、単純にデータ量を増やせばよいわけではありません。

古い情報、重複した情報、入力ミスを含む情報などが大量に蓄積されていれば、AIが必要な情報を正しく利用することが難しくなる場合があります。

例えば、同じ顧客が「株式会社ABC」「(株)ABC」「ABC」と別々に登録されていれば、本来は同じ顧客のデータであるにもかかわらず、別のデータとして扱われる可能性があります。

また、「失注理由」の入力欄があっても、担当者によって「価格」「予算」「高かった」「金額が合わない」など自由に入力されていれば、後から集計・分析する際に整理が必要になります。

AIを活用するのであれば、どのデータを蓄積するかだけではなく、入力ルールや更新方法についても考えておく必要があります。

AI導入より先に「何のデータが必要か」を考える

AI導入を検討すると、「どの生成AIを使うか」「どのAIサービスを導入するか」といったツール選定から始めてしまうことがあります。

しかし、業務でAIを活用するのであれば、その前に「何を実現したいのか」を明確にする必要があります。

例えば、

「過去の類似案件をすぐに探したい」

「過去の問い合わせ内容を基に回答案を作りたい」

「見積作成時に過去案件を参考にしたい」

「設備の不具合履歴から必要な情報を探したい」

といった目的によって、必要になるデータは異なります。

目的が決まれば、「どのデータが必要なのか」「現在どこに保存されているのか」「不足しているデータは何か」を整理できます。

AIありきでシステムを考えるのではなく、実現したい業務から必要なデータを逆算することが重要です。

フルスクラッチの業務システムは将来のAI活用も見据えて設計できる

既存のパッケージやSaaSで必要な業務を十分にカバーできる場合は、それらを利用することも有効な選択肢です。

一方、自社独自の業務フローや管理項目があり、市販のシステムでは必要なデータを蓄積できないケースもあります。

例えば、自社独自の品質管理情報、案件評価、製造条件、顧客別の取引条件、独自の審査結果など、企業によって重要なデータは異なります。

こうした場合には、フルスクラッチ(オーダーメイド)の業務システムが選択肢になります。

フルスクラッチでは、現在必要な業務機能だけではなく、「将来どのようなデータ活用をしたいか」まで考えながら、管理項目やデータの持ち方を検討できます。

今すぐAIを導入しない場合でも、将来的にAIから利用する可能性があるデータを整理して蓄積しておけば、AI活用を始める際の準備負担を減らせます。

つまり、AI導入を将来の選択肢として考えている企業にとって、現在の業務システム開発は、そのためのデータ基盤をつくる機会にもなります。

AIを後付けするのではなくシステム開発の段階から考える

業務システムを開発した後に、「このデータをAIでも使いたい」と考えるケースがあります。

もちろん、後からAI機能を追加することも可能です。

しかし、必要なデータを保存していなかったり、自由入力が多くデータが統一されていなかったりすると、AIを活用する前に追加の対応が必要になることがあります。

そのため、システム開発の段階で将来のAI活用について検討しておくことには意味があります。

「将来AIを使う可能性があるから、とにかくすべて保存する」という考え方ではありません。

重要なのは、業務上価値のあるデータを見極め、後から検索、分析、AI活用しやすい形で蓄積していくことです。

そのためには、システム開発会社に現在の要望だけを伝えるのではなく、「将来的にはこのデータを使って、このような業務を実現したい」という方向性まで共有することが大切です。

AI活用の第一歩は自社データの現在地を把握すること

AI活用を検討している企業が、最初から大規模なAIシステムを開発する必要はありません。

まずは、自社にどのようなデータが存在しているのかを整理することから始められます。

顧客情報はどこにあるのか、案件情報はどこにあるのか、過去の資料はどこに保存されているのか、同じ情報が複数の場所に存在していないか、どの情報が最新なのか、といった点を確認します。

そのうえで、AIで実現したい業務に必要なデータと照らし合わせます。

必要なデータがすでに整理されているのであれば、AI活用へ進みやすくなります。

反対に、Excelや複数のシステム、ファイルサーバーなどに情報が分散しているのであれば、AI導入より先にデータ管理の見直しが必要かもしれません。

AI活用の成否をAIだけの問題として考えず、普段の業務でどのようにデータを作り、蓄積し、更新しているのかまで含めて考えることが重要です。

まとめ

AIを業務で活用するためには、高性能なAIを導入するだけでは十分ではありません。

AIが必要な情報へアクセスし、信頼できるデータを検索・参照できる環境が必要です。

社内データがExcel、PDF、既存システム、個人フォルダなどに分散し、同じ情報が重複していたり、更新状況が異なっていたりすれば、AI活用の前にデータを整理する必要があります。

重要なのは、AIのためだけにデータを集めることではありません。

日々の業務を通じて、正しいデータが継続的に蓄積され、必要なときに利用できる状態をつくることです。

そのためには、「どのAIを導入するか」から考えるのではなく、「AIで何を実現したいのか」「そのためにはどのデータが必要なのか」「現在そのデータはどのように管理されているのか」という順番で考えることが大切です。

将来的なAI活用を考えているのであれば、業務システムを新しく開発・刷新するタイミングは、社内データの管理方法を見直す機会でもあります。

AIを使い始めてからデータを整えるのではなく、AIが使えるデータを日々の業務のなかで蓄積していく。この考え方が、AIを一時的な実証実験で終わらせず、実際の業務へ広げていくための重要な土台になります。

さいごに

AIを業務で活用するためには、AI機能を導入することだけでなく、その前提となるデータをどのように蓄積し、管理していくかが重要です。特に、Excelや複数のシステムに情報が分散している場合は、AI導入を急ぐよりも、まずデータの一元管理から見直す必要があります。

当社フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発を専門としています。現在の業務やデータの管理方法を丁寧に整理し、「どのデータを一元管理するのか」「将来どのように活用したいのか」まで見据えて、お客様の業務に合わせたシステムをご提案します。

パッケージやSaaSでは自社独自の業務に合わせにくい場合でも、フルスクラッチであれば、必要な管理項目や業務フロー、既存システムとの連携まで個別に設計できます。現在の業務効率化だけでなく、将来的にAIが検索・参照しやすい形でデータを蓄積していくことも可能です。

「AIを活用したいが、社内データがバラバラになっている」「将来のAI活用を見据えて業務システムを刷新したい」「自社独自のデータを競争力につなげたい」とお考えの場合は、当社フレシット株式会社へお気軽にご相談ください。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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