使われない機能がシステム開発される理由とは?無駄な開発を防ぐ要件整理のポイント
必要な機能を見極め、開発投資の無駄を減らす考え方
2026-10-21

システム開発では、要件定義の段階では「必要だ」と考えていたにもかかわらず、リリース後にほとんど使われない機能が出てくることがあります。
「念のため付けておこう」
「将来的に使うかもしれない」
「現場から要望があったから追加しよう」
こうした判断を積み重ねた結果、多くの費用と時間をかけて開発した機能が使われず、システムだけが複雑になってしまうケースは珍しくありません。
使われない機能が増えると、問題になるのは開発費だけではありません。画面が複雑になり、利用者が操作しにくくなったり、保守や改修の対象が増えたりすることで、システムを長く運用するための負担にもつながります。
では、なぜ使われない機能がシステム開発されてしまうのでしょうか。
重要なのは、「どのような機能を作るか」から考えるのではなく、「どの業務の、どの課題を解決するのか」から考えることです。
本コラムでは、使われない機能が生まれる主な理由と、無駄なシステム開発を防ぐための考え方について、事業会社のご担当者さま向けにわかりやすく解説します。
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目次
- 1 使われない機能がシステム開発される理由とは?
- 2 使われない機能がシステム開発される理由
- 3 「あったほうが便利」が機能を増やしてしまう
- 4 現場の要望をそのまま要件にしてしまう
- 5 「将来使うかもしれない」で機能を作ってしまう
- 6 業務を理解する前に機能一覧を作ってしまう
- 7 関係者が多いほど「全部入り」になりやすい
- 8 使われない機能にも開発費と保守費がかかる
- 9 使われない機能を防ぐには「目的」から考える
- 10 機能ごとに「誰が・いつ・何のために使うか」を確認する
- 11 最初からすべての機能を作らない
- 12 フルスクラッチ開発だからこそ「何を作らないか」が重要
- 13 システム開発会社には業務理解力も求められる
- 14 まとめ
- 15 さいごに
使われない機能がシステム開発される理由とは?
システム開発では、完成したものの実際の業務ではほとんど使われない機能が作られてしまうことがあります。主な原因は、「あったほうが便利」「将来使うかもしれない」といった要望を、そのまま開発対象にしてしまうことです。
開発前の段階では必要に見えても、実際の業務の流れや利用頻度まで確認すると、なくても困らない機能は少なくありません。また、利用する現場の担当者への確認が不足し、管理者や一部の担当者だけで要件を決めることも原因になります。
重要なのは、要望が出た機能をすべて作るのではなく、「誰が、どの業務で、どれくらい使うのか」「この機能がないと何に困るのか」を確認することです。必要性と優先順位を整理してから開発することで、使われない機能への無駄な開発費や工数を減らせます。
ポイントをひとことで
システム開発では、機能を増やすことよりも、限られた予算をどこに使うかを決めることが重要です。要望された機能をすべて作れば、その分だけ開発費だけでなく、テストや保守、将来の改修にも費用がかかります。だからこそ、機能ごとに「誰のどんな業務を改善するのか」「利用頻度に対して開発費は妥当か」を確認する必要があります。使うかもしれない機能に先回りして投資するのではなく、必要性が明確な機能から作り、実際の利用状況を見ながら追加していくほうが、限られた予算を有効に使えます。
使われない機能がシステム開発される理由
使われない機能が生まれる原因は、単純に要件定義が不足しているからとは限りません。
むしろ、「必要そうな機能を丁寧に洗い出した結果、機能が増えすぎてしまう」ということがあります。
システム開発を始めると、各部門や利用者からさまざまな要望が出てきます。
「検索条件をもっと細かくしたい」
「CSVで出力できるようにしたい」
「管理者だけが使える画面が欲しい」
「この情報も登録できるようにしたい」
「将来のために、この機能も追加したい」
一つひとつを見ると、もっともらしい要望です。
しかし、要望があることと、その機能を開発する必要があることは同じではありません。
重要なのは、その要望が実際の業務でどの程度使われるのか、その機能がなければどのような問題が起きるのかまで確認することです。
「あったほうが便利」が機能を増やしてしまう
システム開発で注意したい言葉の一つが、「あったほうが便利」です。
もちろん、便利な機能そのものが悪いわけではありません。
しかし、限られた予算と開発期間の中でシステムを作る以上、すべての「あったほうが便利」を実現することは現実的ではありません。
例えば、月に一度しか使わない業務のために専用機能を開発するとします。
その機能がなければ毎月数時間の作業が発生するのであれば、開発する価値があるかもしれません。一方で、年に数回、数分程度しか発生しない作業であれば、システム化するより人が対応したほうが合理的な場合もあります。
つまり、機能の必要性は「便利かどうか」だけでは判断できません。
利用頻度、作業時間、ミスの発生頻度、業務への影響、開発費などを踏まえて判断する必要があります。
現場の要望をそのまま要件にしてしまう
現場の意見を聞くことは、業務システムの開発において非常に重要です。
一方で、現場から出てきた要望をそのままシステム要件にすると、必要以上に機能が増えることがあります。
例えば、担当者から「この入力欄を追加してほしい」という要望が出たとします。
そこで重要なのは、すぐに入力欄を追加することではありません。
「なぜ、その情報を入力する必要があるのか」
「入力した情報は誰が使うのか」
「何の判断に使うのか」
「現在はどのように管理しているのか」
まで確認する必要があります。
詳しく聞いてみると、別の画面ですでに同じ情報を管理していたり、そもそも現在の業務では必要なくなっていたりすることがあります。
要望は、必ずしも作るべき機能そのものではありません。
要望の背景にある業務上の課題を確認し、その課題を解決する方法を考えることが重要です。
「将来使うかもしれない」で機能を作ってしまう
フルスクラッチのシステム開発では、自社の業務に合わせて柔軟に機能を設計できます。
だからこそ注意したいのが、「将来的に必要になるかもしれない」という理由で、現在必要ではない機能まで開発してしまうことです。
例えば、
「将来、海外展開するかもしれないから多言語対応にする」
「将来、代理店が増えるかもしれないから代理店管理機能を作る」
「将来、承認者が増えるかもしれないから複雑な承認設定を作る」
といったケースです。
将来を見据えること自体は重要です。しかし、その計画が実現するかどうかわからない段階から、すべてを機能として実装する必要はありません。
将来必要になったときに追加できるように設計しておき、実際の機能は必要になってから開発するという考え方もあります。
「将来追加できるようにしておくこと」と「将来使うかもしれない機能を今作ること」は分けて考えることが重要です。
業務を理解する前に機能一覧を作ってしまう
システム開発を検討するとき、「必要な機能を一覧にしてください」と言われることがあります。
そのため、事業会社側で機能一覧を作り、
・顧客管理
・案件管理
・検索
・承認
・帳票出力
・CSV出力
・通知
・権限管理
といった形で整理することがあります。
しかし、機能一覧だけでは、本当に必要なシステムは見えてきません。
同じ「案件管理」という機能でも、会社によって業務内容は大きく異なるからです。
誰が案件を登録し、誰が更新し、どのタイミングで承認し、どの情報を見て次の行動を決めるのか。
こうした実際の業務を理解しなければ、必要な機能を正しく判断することは難しくなります。
システム開発では、機能を考える前に業務を整理することが重要です。
関係者が多いほど「全部入り」になりやすい
システムを利用する部署が多い場合も、使われない機能が増えやすくなります。
営業部門からは営業管理の要望、管理部門からは集計機能の要望、経営層からは分析機能の要望、現場からは入力を簡単にしてほしいという要望が出てきます。
すべての意見を尊重しようとすると、「要望された機能を全部入れる」という判断になりがちです。
しかし、要望をすべて採用することが、利用者にとって良いシステムになるとは限りません。
むしろ、機能が増えすぎることで画面が複雑になり、日常的に利用する担当者にとって使いにくくなる可能性があります。
必要なのは、要望を集めることだけではなく、業務への影響や利用頻度を踏まえて優先順位を決めることです。
使われない機能にも開発費と保守費がかかる
使われない機能の問題は、「使わなければよい」で終わりません。
機能を一つ追加するだけでも、要件整理、画面設計、プログラム開発、テスト、マニュアル作成などが必要になります。
さらに、システム公開後も、その機能は保守対象として残ります。
システム全体を改修するときには、使われていない機能であっても影響がないか確認しなければなりません。
つまり、使われない機能は開発時だけではなく、システムを利用している間も継続的にコストを発生させる可能性があります。
システム開発では、「作れるかどうか」だけでなく、「作り続ける価値があるか」という視点が必要です。
使われない機能を防ぐには「目的」から考える
不要な機能を減らすためには、機能ではなく目的から考えることが重要です。
例えば、「CSV出力機能が欲しい」という要望があったとします。
そのまま開発するのではなく、「なぜCSVが必要なのか」を確認します。
すると、
「毎月、売上データをExcelに移して集計している」
という業務が見えてくるかもしれません。
さらに確認すると、本当に解決すべき課題はCSV出力ではなく、「毎月の売上集計を簡単にしたい」ということだとわかります。
そうであれば、システム上で集計結果を確認できるようにしたほうが適切かもしれません。
利用者が求める機能と、本当に解決したい課題は必ずしも一致しません。
この違いを整理することが、無駄な機能を減らす重要なポイントです。
機能ごとに「誰が・いつ・何のために使うか」を確認する
必要な機能かどうかを判断するときは、具体的な利用場面を確認します。
例えば、次のような観点です。
・誰が使うのか
・どの業務で使うのか
・どのくらいの頻度で使うのか
・この機能がない場合、どのような作業が必要になるのか
・その作業にはどのくらい時間がかかるのか
・どの程度のミスや手戻りを減らせるのか
ここまで整理すると、機能の優先順位を判断しやすくなります。
「欲しい人がいるから作る」のではなく、「業務上の効果が期待できるから作る」という判断に変えることが重要です。
最初からすべての機能を作らない
使われない機能を減らす方法として、最初から完成形を目指さないことも有効です。
特に新規事業や新しい業務システムでは、開発前に利用者の行動を完全に予測することは困難です。
そこで、まずは業務に必要な機能に絞ってシステムを開発し、実際に利用してもらいます。
そのうえで、
「この作業に時間がかかる」
「この情報も表示してほしい」
「想定よりこの機能を頻繁に使う」
といった実際の利用状況を確認しながら、必要な機能を追加していきます。
利用前の予想だけで機能を増やすより、実際の利用結果をもとに投資判断を行うほうが、使われるシステムにつながりやすくなります。
フルスクラッチ開発だからこそ「何を作らないか」が重要
フルスクラッチ開発の大きな特徴は、自社の業務や事業に合わせてシステムを作れることです。
パッケージ製品のように最初から決められた機能に業務を合わせるのではなく、必要な機能を選び、自社に合ったシステムを開発できます。
一方で、自由度が高いからこそ、「作れる機能を増やす」という方向に進んでしまうと、開発費も期間も膨らみます。
フルスクラッチ開発で重要なのは、要望をすべて実現することではありません。
事業や業務に必要なものを見極め、必要性の低いものは作らないという判断も重要です。
そのため、システム開発会社を選ぶ際には、依頼された機能をそのまま作るだけではなく、「なぜ必要なのか」「本当にこの方法が適切なのか」まで一緒に考えてくれるかを確認することが大切です。
システム開発会社には業務理解力も求められる
使われるシステムを作るためには、技術力だけでは十分ではありません。
システム開発会社が事業会社の業務を理解し、要望の背景まで掘り下げることが重要です。
例えば、「承認機能が欲しい」という要望に対して、単に承認画面を作るのではなく、
「誰が何を確認するための承認なのか」
「承認しなければ、どのような問題が起きるのか」
「すべての案件に承認が必要なのか」
と確認できれば、よりシンプルな方法が見つかる可能性があります。
システム開発会社に求められるのは、要望をプログラムに変換することだけではありません。
業務を理解したうえで、必要な機能と不要な機能を事業会社と一緒に整理することも、システム開発における重要な役割です。
まとめ
使われない機能がシステム開発される背景には、「あったほうが便利」「将来使うかもしれない」「現場から要望された」といった理由があります。
しかし、要望がある機能をすべて開発してしまうと、開発費が増えるだけでなく、画面が複雑になり、保守や改修の負担も大きくなります。
システム開発で重要なのは、機能数を増やすことではありません。
「誰が使うのか」「どの業務で使うのか」「どの程度使うのか」「その機能によって何が改善されるのか」を確認し、必要性と優先順位を判断することです。
特にフルスクラッチ開発では、自由に機能を作れるからこそ、「何を作るか」と同じくらい「何を作らないか」が重要になります。
最初からすべてを盛り込むのではなく、本当に必要な機能から開発し、実際の利用状況を見ながら改善していくことが、無駄なシステム投資を抑え、長く使われるシステムにつながります。
さいごに
フルスクラッチのシステム開発では、要望された機能をすべて作ることが、必ずしも良いシステムにつながるとは限りません。本当に重要なのは、実際の業務や課題を理解したうえで、「何を作るべきか」「何は作らなくてよいか」を見極めることです。
当社フレシット株式会社では、単にご要望をそのままシステムにするのではなく、お客様の業務内容やシステムを導入する目的、その機能が必要とされている背景まで丁寧に確認したうえで、必要な機能を整理します。
フルスクラッチ(オーダーメイド)だからこそ、不要な機能まで盛り込むのではなく、本当に必要な機能に開発費を使い、実際の業務で使われるシステムを目指すことが大切だと考えています。
「必要な機能をまだ整理できていない」「現場から多くの要望が出ていて優先順位を決められない」「パッケージでは自社の業務に合わない」といった段階からでもご相談いただけます。
自社の業務に合ったシステムを一から検討したいとお考えでしたら、ぜひ当社フレシット株式会社へご相談ください。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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