【トヨタの国内物流再編・ダイハツとの部品配送効率化に学ぶ】システム間連携で業務を効率化する方法|異なるシステムのデータを統一するポイント
既存システムを活かしながら、データ連携と業務全体の最適化を進める
2026-10-29

企業の事業拡大やグループ会社の増加に伴い、部門・拠点・企業ごとに異なる業務システムが導入されるケースは少なくありません。
それぞれのシステムが個別の業務に最適化されていても、システム同士が連携していなければ、データの二重入力や手作業による転記、情報の不整合といった問題が発生します。
こうした課題に対する取り組みの一つが、トヨタ自動車による物流システムの改革です。
トヨタは、グループ会社のトヨタモビリティパーツ(TMP)の倉庫管理システムを刷新し、メーカーごとに異なっていた部品管理の手順やデータ管理の規格を統一する方針を示しました。さらに、倉庫管理システムと配送管理システムを連携させ、物流業務全体の効率化を目指しています。
この取り組みは物流業界だけでなく、複数の業務システムを利用している多くの企業にとって参考になります。
本コラムでは、トヨタの物流システム改革を題材に、システム間連携が必要になる背景や、異なるシステムのデータを統一する方法、システム開発を成功させるためのポイントについて解説します。
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【記事要約】トヨタ、倉庫管理システム刷新でメーカー間の管理規格を統一|データ連携による物流業務の効率化を推進
トヨタ自動車は、グループのトヨタモビリティパーツ(TMP)の倉庫管理システムを2026年10月に刷新し、メーカーごとに異なっていた部品の管理方法や作業手順を統一します。
従来、複数メーカーの部品を共同配送していたものの、管理システムが統一されておらず、メーカー別のラベル管理や作業手順の違いが業務効率化の妨げとなっていました。
新システムでは、トヨタの管理方式を共通基準とし、まずダイハツとの連携から開始して、他メーカーにも順次拡大します。これにより、入出庫や在庫保管の管理、倉庫内の作業動線を効率化し、従業員の業務量予測や勤務シフトの最適化、新人教育の負担軽減を目指します。
さらに、配送管理システムとの連携によって納品状況をリアルタイムで把握し、積み残しや誤配送の防止、物流の滞留状況の可視化を進めます。
(出典:日本経済新聞「トヨタ、国内物流を再構築 ダイハツと部品配送を効率化 改正法に対応 管理の規格を統一」2026年8月25日付朝刊)
ポイントをひとことで
システム間連携を考える際に重要なのは、どのシステムをつなぐかよりも、企業全体で情報をどのように管理し、活用するかを先に決めることです。各システムの都合に合わせて個別に連携を増やしていくと、将来的な変更や追加のたびに開発コストが膨らむ可能性があります。そのため、データの管理元や共通ルールを明確にし、事業の変化にも対応できる設計が求められます。システム投資では、目先の作業削減だけでなく、将来の改修負担や運用コストまで見据えることが重要です。最初に管理方針を整理しておくことが、長期的な投資効果を左右します。
トヨタの物流システム改革から見えるシステム間連携の重要性
配送網は統合されていても、管理システムは別々だった
トヨタモビリティパーツ(TMP)は、2020年からダイハツやSUBARUなど、複数メーカーの補給部品を共同配送する取り組みを進めてきました。
各メーカーの部品をTMPの物流拠点に集約し、既存の配送網を活用することで、メーカーをまたいだ共同配送を実現していました。
しかし、物流網が統合されている一方で、部品の管理システムはメーカーごとに異なっていました。
例えば、トヨタの部品はTMPのシステムで管理できても、他メーカーの部品には異なるラベルや管理手順が必要になるなど、現場では複数の管理方法を使い分けなければなりませんでした。
このような状況では、物流網を共有していても、倉庫内の作業を十分に効率化できません。
そこでトヨタは、2026年10月にTMPの倉庫管理システムを刷新し、各メーカーの部品を共通の手順で管理できるようにする計画を進めています。
まずはダイハツとの連携から開始し、将来的には他メーカーのシステムとも接続することで、管理業務の効率化を目指します。
システム間連携によって実現する業務改善
今回の取り組みでは、単にシステムを新しくするだけでなく、業務手順とデータ管理のルールを統一する点が重要です。
メーカーごとに異なっていた管理方法を共通化することで、次のような効果が期待されています。
- 部品の入出庫管理や保管場所の管理を効率化できる
- メーカーごとに異なる作業手順を減らせる
- 倉庫内の作業動線を改善できる
- 従業員の業務量を予測しやすくなる
- 勤務シフトの作成や人員配置を最適化しやすくなる
- 新人教育に必要な時間を短縮できる
さらに、新しい倉庫管理システムを配送管理システムと連携させることで、納品状況をリアルタイムで把握できるようにする計画です。
これにより、配送状況の確認だけでなく、積み残しや誤配送の防止、物流の滞留状況の把握にもつなげます。
ここから分かるのは、業務システムの連携は、単なるデータの受け渡しではなく、業務全体の効率化を実現するための手段であるということです。
なぜ企業の業務システムは連携できなくなるのか
企業では、事業の成長に合わせて必要なシステムを段階的に導入することが一般的です。
しかし、それぞれのシステムを個別に導入した結果、企業全体でのデータ活用や業務連携が難しくなる場合があります。
部門ごとに異なるシステムを導入している
営業部門では顧客管理システム、経理部門では会計システム、物流部門では在庫管理システムなど、業務に応じて異なるシステムが利用されています。
各部門の業務だけを考えれば問題がなくても、部門をまたぐ業務では情報の受け渡しが必要になります。
例えば、営業部門が受注した情報を物流部門へ連携する際、システム同士が接続されていなければ、担当者がExcelやCSVを使ってデータを受け渡さなければなりません。
こうした手作業が増えるほど、入力ミスや情報更新の遅れが発生しやすくなります。
データの管理方法が統一されていない
異なるシステムでは、同じ情報であっても管理方法が異なる場合があります。
例えば、商品コードの桁数、取引先コードの付番方法、日付の形式、在庫数量の単位などが統一されていないケースです。
あるシステムでは商品を10桁のコードで管理し、別のシステムでは独自の6桁コードで管理している場合、そのままでは同じ商品として認識できません。
このような問題を解決するには、システム間で共通して利用できるデータのルールを定める必要があります。
システムの導入時期や開発方式が異なる
企業では、長年利用している基幹システムと、新しく導入したクラウドサービスが混在していることもあります。
システムによって利用できるデータ連携方式や技術が異なるため、単純に接続するだけでは連携できない場合があります。
特に、古いシステムでは外部連携を想定していないこともあり、個別の連携機能を開発する必要があります。
システム間連携を実現するために必要なデータの標準化
システム間連携を成功させるには、システム同士を接続するだけでは不十分です。
異なるシステムが同じ情報を正しく認識できるように、データの管理方法を整理する必要があります。
データの標準化とは
データの標準化とは、システムごとに異なるデータの形式や管理ルールを統一することです。
例えば、次のような項目が対象になります。
| 管理項目 | 標準化前の問題 | 標準化による改善 |
| 商品コード | システムごとに異なるコードを使用 | 共通コードや変換ルールで商品を識別 |
| 取引先情報 | 同じ取引先が異なる名称で登録されている | 共通の取引先IDで管理 |
| 在庫数量 | 数量の単位や更新タイミングが異なる | 単位や更新ルールを統一 |
| 日付データ | システムごとに形式が異なる | 共通の形式に変換 |
| ステータス | 業務の進捗を異なる名称で管理 | 共通のステータス定義を設定 |
データを標準化することで、システム間で情報を正しく受け渡せるようになります。
マスターデータの統一が重要
商品、顧客、取引先、従業員など、複数のシステムで共通して利用する基本情報をマスターデータと呼びます。
マスターデータがシステムごとに異なると、同じ情報を何度も登録したり、更新内容が反映されなかったりする問題が発生します。
例えば、取引先の住所が変更された場合、営業管理システムだけを更新しても、配送管理システムに古い住所が残っていれば、誤配送につながる可能性があります。
こうした問題を防ぐには、マスターデータの管理元を明確にし、必要なシステムへ更新情報を連携する仕組みが必要です。
すべてのシステムを統一する必要はない
データの標準化を進める際、必ずしもすべてのシステムを一つに統合する必要はありません。
既存システムを維持しながら、共通のデータ形式へ変換する仕組みを設ける方法もあります。
例えば、各部門のシステムで独自の商品コードを利用していても、共通の商品IDとの対応関係を管理すれば、システム間で同じ商品を識別できます。
重要なのは、すべてのシステムを同じものにすることではなく、必要なデータを正しく共有できる状態にすることです。
システム間連携を実現する主な方法
システム間連携には複数の方法があり、既存システムの仕様や連携するデータの種類、更新頻度などによって適切な方式が異なります。
API連携
API連携は、システム同士が決められた方法でデータをやり取りする仕組みです。
例えば、受注管理システムで注文が登録された際に、APIを通じて在庫管理システムへ情報を送信できます。
リアルタイムに近い情報連携が必要な場合や、複数のシステムで情報を共有したい場合に適しています。
ただし、既存システムがAPIを提供していない場合には、別の連携方法を検討する必要があります。
CSV・ファイル連携
CSVなどのファイルを利用して、システム間でデータを受け渡す方法です。
比較的導入しやすく、既存システムがAPIに対応していない場合にも利用できることがあります。
一方、ファイルの出力や取り込みのタイミングによって情報の更新に時間差が生じるため、リアルタイム性が求められる業務には適さない場合があります。
データ連携基盤の活用
複数のシステムを連携させる場合、システム同士を個別に接続すると、連携先が増えるほど管理が複雑になります。
そこで、各システムの間にデータ連携基盤を設ける方法があります。
データ連携基盤が各システムから情報を受け取り、必要な形式へ変換して連携先へ送信することで、個別の連携処理を集約できます。
新しいシステムを追加する場合にも、既存の連携機能を活用できる可能性があります。
フルスクラッチ開発がシステム間連携に適しているケース
システム間連携は、既存のパッケージ製品やクラウドサービスでも実現できる場合があります。
一方、企業独自の業務や複雑な連携条件がある場合には、フルスクラッチによるシステム開発が選択肢になります。
既存システムを残しながら連携したい場合
長年利用している基幹システムをすぐに刷新することが難しい企業もあります。
フルスクラッチ開発であれば、既存システムの仕様に合わせた連携機能を個別に開発できます。
そのため、すべてのシステムを一度に置き換えるのではなく、必要な部分から段階的に連携を進めることが可能です。
独自の業務ルールに対応する必要がある場合
企業によって、商品管理や在庫引当、受発注処理などの業務ルールは異なります。
例えば、取引先ごとに異なる商品コードを使用していたり、拠点によって在庫管理の方法が異なっていたりする場合です。
フルスクラッチ開発では、こうした独自の業務ルールを踏まえて、データ変換や連携処理を設計できます。
将来的なシステム追加や事業拡大を見据える場合
事業拡大に伴って、新しい拠点やグループ会社、外部サービスとの連携が必要になることがあります。
そのため、現在必要なシステムだけでなく、将来的に連携先が増えることも想定して設計することが重要です。
フルスクラッチ開発では、連携先の追加やデータ項目の変更に対応しやすい設計を検討できます。
ただし、柔軟性を確保するためには、開発段階から保守性や拡張性を考慮する必要があります。
システム間連携の開発を成功させるためのポイント
システム間連携を成功させるには、技術的な接続方法だけでなく、業務全体を踏まえた検討が欠かせません。
現在の業務とデータの流れを整理する
まずは、どのシステムで情報が登録され、どのシステムで利用されているのかを明確にします。
そのうえで、手作業による転記や二重入力、情報更新の遅れなど、現在発生している問題を洗い出します。
システム間連携によって解決すべき課題を明確にすることが、適切な開発範囲を決める第一歩です。
データの管理元と更新ルールを決める
複数のシステムで同じデータを扱う場合、どのシステムの情報を正しいものとして扱うのかを決める必要があります。
例えば、顧客情報は顧客管理システム、在庫数量は在庫管理システムを管理元とするなど、役割を明確にします。
また、データの更新タイミングや連携に失敗した場合の再処理方法も検討しておくことが重要です。
段階的に連携範囲を拡大する
複数のシステムを一度に連携させようとすると、開発範囲が大きくなり、業務への影響も増えます。
まずは連携による効果が大きい業務から着手し、運用状況を確認しながら対象を広げる方法が有効です。
今回のトヨタの取り組みでも、まずTMPとダイハツの連携から開始し、その後、他メーカーへ拡大する計画が示されています。
段階的な導入によって、現場の課題を確認しながら改善を進められます。
システム開発会社と業務要件を共有する
システム間連携では、接続先の仕様だけでなく、実際の業務でどのようにデータが利用されるのかを理解する必要があります。
そのため、システム開発会社には、連携対象のシステムやデータ項目だけでなく、業務上の課題や将来的な運用方針も共有することが重要です。
業務の目的を踏まえて要件を整理することで、単にデータを連携するだけではなく、業務効率化につながるシステム開発を進めやすくなります。
まとめ|システム間連携はデータの統一と業務全体の最適化が重要
トヨタの物流システム改革は、複数のシステムを利用する企業にとって、システム間連携とデータ管理の標準化の重要性を示す事例です。
異なるシステムを個別に運用していると、データの二重入力や管理方法の違いによって、業務効率が低下する場合があります。
こうした課題を解決するには、データ形式や管理ルールを整理し、必要な情報をシステム間で正しく共有できる仕組みが必要です。
また、すべてのシステムを一度に刷新するのではなく、既存システムを活用しながら段階的に連携を進める方法もあります。
システム間連携を検討する際には、現在の業務課題を明確にしたうえで、データの標準化、連携方式、将来的な拡張性を総合的に判断することが重要です。
システム間連携の目的は、システム同士をつなぐことではなく、企業全体で情報を有効活用し、業務効率と管理精度を高めることにあります。
さいごに|システム間連携・データの一元管理を実現するフルスクラッチ開発なら当社フレシット株式会社へ
システム間連携を成功させるためには、単に異なるシステムを接続するだけでなく、各業務の特性や既存システムの仕様を理解し、企業全体でデータを有効活用できる仕組みを整えることが重要です。
特に、部門や拠点ごとに異なるシステムを利用している場合、データ形式の違いや独自の業務ルールが障壁となり、既存のパッケージ製品では十分に対応できないケースもあります。
当社フレシット株式会社は、フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発を専門とし、企業ごとに異なる業務課題や運用方法に合わせたシステムをご提案しています。
既存の基幹システムや業務システムとの連携、データ管理の一元化、手作業による転記・二重入力の削減など、現在の業務環境を踏まえたシステム開発に対応します。
また、目先の課題解決だけでなく、将来的な事業拡大やシステムの追加・変更も見据え、長期的に活用できるシステムづくりを大切にしています。
「複数のシステムに情報が分散している」「既存システムを活かしながら業務を効率化したい」「自社独自の業務に対応したシステムを開発したい」といった課題をお持ちでしたら、ぜひ当社フレシット株式会社へご相談ください。
業務の実態に合わせた柔軟なシステム開発を通じて、データの一元管理と業務効率化、そして事業の成長を支えるシステムの実現をお手伝いいたします。
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著者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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