MVP開発の成功事例4選!成功のポイントについても徹底解説
2025-04-04

MVP開発は、PDCAサイクルを回しながらプロダクトやサービスをブラッシュアップしていく開発手法として注目されており、顧客の反応をダイレクトに反映できることが利点として確立しました。新システムの構築や新サービスの立ち上げなど、反応を見ながら改善していきたいプロジェクトと相性が良いでしょう。
本コラムではMVP開発の成功事例について紹介していきます。MVP開発ならではのメリット・デメリットや成功のポイントにも触れていますのでぜひご参考にしてください。
目次
MVP開発とは
MVP開発(=Minimum Viable Product・最小限の実用的製品)とは、基本的かつ最小限の機能だけを持つプロトタイプを先行リリースし、その後、顧客から寄せられる反応やレビューをもとに改善を繰り返していく開発手法です。新システムの構築や新サービスの立ち上げなど実験的な要素の多いプロジェクトや、スタートアップ企業のプロダクトなどでよく見られる手法であり、リソースを無駄にしない開発として注目を集めました。
MVP開発における最大の特徴は、最初から100点満点の完璧なプロダクトを目指さない点にあります。試作品を作ってからトライ&エラーで何度も修正・改善を繰り返していく手法のため、「多額のコストをかけたのに無駄になった」「想定していたような反応が得られずボツになった」などのトラブルがありません。
その分、顧客とのダイレクトなコミュニケーションによるフィードバック収集の手間がかかりますが、そのコミュニケーションにも価値があると考えられるのであれば、非常に有益な手法となるでしょう。
MVP開発のメリット
ここでは、MVP開発のメリットを解説します。以下の点に魅力を感じるときは、MVP開発を積極的に検討してよいでしょう。
開発リスクを予防できる
MVP開発の場合、トライ&エラーで都度プロダクトの内容を改善できるため、開発リスクの予防に貢献します。最初からフル機能を開発した場合、「想定より市場に受け入れられなかった」となったときのダメージが大きくなります。改善・修正にも手間とコストがかかり、思わぬ工数が発生するかもしれません。
一方、MVP開発では市場の反応を早期に確認でき、「顧客が本当に求めている製品なのか?」という不確実性を払拭できます。もし市場に受け入れられなかった場合、初期投資を最小限に抑えて方向転換するなど、フレキシブルな対応も可能です。
開発コストを削減できる
MVP開発の場合、まずは本当に必要とされる機能の実装に注力でき、開発コストが低くなります。余分な機能開発にかかる時間やコストを削減することでコストパフォーマンスも良くなり、リソースを無駄にすることもありません。また、リリース以降にこまめな改善・修正を繰り返す性質上、根本となる前提部分から改善するような大がかりな修正が発生しないこともメリットです。
つまり、コストが限られている企業やエンジニアなど技術職のリソースが限られている企業でも比較的導入しやすい開発手法であり、プロジェクトにかかる人件費や開発費用を抑えられます。
迅速な市場投入ができる
MVP開発の場合、迅速な市場投入が可能です。基本的かつ必要な機能のみに絞り込んで素早く開発し、そのまま素早く市場に投下できるため、機会損失がありません。「開発している間に同業他社が似たようなプロダクトをリリースしてしまい、そのまま市場シェアを奪われた」などの後悔もなくなります。
技術発展が目覚ましい今の時代だからこそ、市場投下のスピード感が重視されるようになっています。その後も素早く改善サイクルを回すことで、スピードだけでなく顧客満足度も高いプロダクトに進化させていくことができるでしょう。
資金調達の助けになる
MVP開発を資金調達の手法として活用する企業も増えています。MVP開発のメリットは市場の反応を早期に得られる点にあり、おおむね好評であることがわかれば、投資家や金融機関からの評価も高くなるでしょう。結果、実績や市場性を証明する材料として使えるようになり、効果的な資金調達が実現します。
特に、立ち上げ資金が限られているスタートアップ企業やベンチャー企業、稼働しはじめたばかりの新規プロジェクトなどにおいて有効な手段です。社内での評価も高まりやすく、予算確保につながるかもしれません。
MVP開発のデメリット
MVP開発はメリットの多い開発手法ですが、一方でデメリットも存在します。以下ではMVP開発の代表的なデメリットを解説しますので、事前にチェックしておきましょう。
初期段階での機能が限定される
MVP開発は「基本的かつ最小限の機能だけを持つプロトタイプを先行リリースする」という性質上、初期段階のプロダクトにおける機能はどうしても限定されてしまいます。あれもこれもと多機能を追加すると開発コストや時間もかかるので、メリットが失われるので注意しましょう。
一方、機能が限定されていることがデメリットになることも多く、ユーザーから「機能が少なくて不便だ」「ほしい機能が搭載されていないなら使わない」と評価され、離脱を招く可能性があります。リピート利用や口コミによる拡散が期待できず、思うように市場に浸透しないかもしれません。
フィードバックの分析が難しい
ユーザーからの反応やフィードバックが重要であるMVP開発において、適切なフィードバック分析ができないと、プロダクトの方向性がブレてしまうので注意しましょう。例えば、少数のユーザーや初期の反応だけを信じて改善方針を立ててしまうと、改善後も市場にフィットしないプロダクトになる可能性があります。どんな人からどんな内容のフィードバックを得て、どうプロダクトに反映していくか、PDCAサイクルのスタイルを構築しておく必要があるでしょう。
フィードバックを効果的に活用するためには、定量的データや実際のユーザー行動を取り入れることが重要です。また、ユーザーの期待やニーズが変化する可能性があることを念頭に置き、フィードバックを逐次的に改善していきましょう。
MVP開発の成功事例4選
ここでは、MVP開発の成功事例を紹介します。今では当たり前に使われているプロダクトやプラットフォームの中にも、もとはMVP開発から始まった物が多数存在します。
以下では有名な事例をピックアップしているので、自社で役立つ要素がないかチェックしてみましょう。
Uber|ドライビングマッチングプラットフォーム
今や世界的なサービスである「Uber」は、もともとドライビングマッチングプラットフォームとして誕生しています。創業者の友人・知人のみに限定公開されていた小さなサービスからスタートし、配車リクエストを受けて車を向かわせるシンプルな構造でした。
結果、「素早く安心な配車ができること」「配車までの待ち時間や他ユーザーからの評価が見られること」にニーズがあると気がつき、サービスの範囲を拡大しています。今やタクシー配車アプリだけでなくフードデリバリーサービス「Uber Eats」への拡大も果たし、忙しい現代人に便利なサービスを届ける企業となっています。
Airbnb|空き家活用プラットフォーム
空き家活用プラットフォーム「Airbnb」は、もともとはアパートの空き部屋を簡易的な宿泊所として1泊単位で貸し出すサービスとしてリリースされました。ホテルのようなホスピタリティあふれるサービス訴求をなくし、シンプルなWebサイトで部屋の雰囲気やアクセスだけを紹介する形式でスタートし、空きスペースの掲載・予約という必要最低限の機能から始まっています。
現在では世界最大級の民泊サービスとして成長している他、空き部屋だけでなく空き家・ヴィラ・ツリーハウスにまで幅広く対応するなど、ラインナップも拡大しています。世界中のユニークな宿泊施設を選べるプラットフォームとして、オリジナリティを求める旅行者からも高く評価されるようになりました。
Dropbox|クラウドストレージサービス
クラウドストレージサービス「Dropbox」も、MVP開発からスタートしたプロダクトです。もともとは容量が大きい動画ファイル等の共有サービスの開発を想定していましたが、技術的な課題が多く、容量の小さなドキュメントファイルや写真の共有に特化した方針に変更しています。
その後はファイル同期のやり方を説明する動画資料を提供するなど、ユーザーにとって「わかりやすく使いやすいシステム」になるよう工夫したことで、爆発的なヒットを獲得しました。ドラッグ&ドロップでファイルを同期できる手軽さや、直観的な操作感もMVP開発の賜物となっています。
Zappos|オンラインアパレルストア
アパレルストアの「Zappos」も、最初はシューズの販売に特化したWEBサイトとしてサービスをリリースしています。当初から在庫レスの運営手法を採用し、注文が入り次第担当者が店舗に出向いて直接靴を仕入れて発送するアナログな方法で運営していましたが、その後顧客からのフィードバックを受けてやり方を変更しています。365日返品保証・無料配送などのサポートも増え、結果的に顧客から支援されるサービスとして定着しました。
「Zappos」はもともと「靴をオンラインで購入したい人はいるのか?」というニーズ探索のために開発されたプロダクトで、注文が想定以上に増えたことで確実にニーズがあると確証するきっかけとなりました。現在はシューズだけでなく衣服やアクセサリーなどのラインナップも増やし、カスタマーサービスにも力を入れています。
MVP開発の成功させるためのポイント
MVP開発を確実に成功させたいときは、MVP開発の実績が多いシステム開発会社を頼りましょう。
MVP開発では、迅速かつ効率的な開発が求められます。システム開発会社は豊富な経験と専門知識に基づいて最適な手法を提案してくれる他、開発だけでなくフィードバックの獲得や改善案の構築・実行までワンストップで支援してくれるのが特徴です。「これまでMVP開発をした経験がない」「開発経験はあるがMVPのノウハウがない」という場合でも、外部の専門家を頼ることで開発期間の短縮や品質の向上が期待できます。
その他、MVP開発の実績が多いシステム開発会社では、MVPの目的やターゲットユーザーを明確にするサポートも提供しています。そもそも本当にMVP開発が合っているのか、MVP開発する場合には、まず、どの機能にフォーカスするのか、など計画案を立ててくれるのでプロジェクトが一気に進みやすくなるでしょう。アイデアを具現化し、顧客からのフィードバックを得るプロトタイプを開発することも可能です。
もちろん、MVP開発は自社で内製化し、独自の手法で実行することも可能です。既にノウハウがあって問題なく自走できそうな場合は内製化を、専門家のノウハウや外部からの客観的な知見を活かして少しでも成功率を上げたいときはシステム開発会社への依頼を検討してみましょう。
まとめ
MVP開発はスピード感とコスト・工数削減を同時に実現できる開発手法であり、特に新規のプロジェクトやスタートアップ企業などのプロダクト開発に向いています。トライ&エラーで改善を繰り返しながら成長していきたいときや、顧客・市場の反応を見て継続可否を判断したいときに検討してみるとよいでしょう。
なお、MVP開発を成功させるためには、アイデアを的確に形にする開発パートナーの選定も重要です。
フレシット株式会社では、ビジネスゴールに直結する要件整理から、最小構成で本質を捉えたプロダクト設計、開発後の検証・改善まで、一貫してフルスクラッチ(オーダーメイド)開発でご支援いたします。
スタートアップ支援や実証実験段階の開発にも多数の実績があり、「とにかく早く市場に出したい」「アイデアはあるが形にできていない」といったフェーズからでも柔軟に対応可能です。
MVP開発を成功へと導く“伴走型パートナー”として、ぜひお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。