社内システムの乱立はなぜ起こる?原因やリスク、解決方法を解説
部門最適から全社最適へ、システム整理で見直す業務基盤
2026-06-07

「同じ情報を、違うシステムで何度も入力している」
「社内のどこにどんなシステムがあるのか、誰も全体像を把握できていない」
その原因は、社内システムの乱立にあるのかもしれません。
社内システムの乱立は、業務効率の低下だけでなく、セキュリティリスクやDX推進の停滞にもつながります。しかし、課題対応を優先するなかで、いつの間にか複数のシステムが混在してしまうケースは少なくありません。
本コラムでは、
- 社内システムが乱立する原因
- 社内システムの乱立によるリスク
- 社内システムの乱立を解決するための7STEP
について詳しく解説します。社内システムの乱立を解消するために、ぜひお役立てください。
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目次
社内システムの乱立とは?
社内システムの乱立とは、複数のシステムが社内に混在し、全体最適ができなくなっている状態のことを指します。例えば、部門ごとに異なるツールを利用したり、同じ情報を違うシステムに繰り返し入力したりするのは、社内システムの乱立に原因があると考えられます。
社内システムが乱立すると、それぞれのシステムの管理コストも増加します。業務効率をあげるために導入したはずのシステムが、かえって業務負荷を上げてしまう可能性も高まります。
社内システムが乱立する3つの原因
では、なぜ社内システムは乱立してしまうのでしょうか。原因を大きく3つに分けて解説します。
場当たり的な便利さを優先してしまう
社内システムが乱立する原因として、それぞれの部署が部署ごとに最適なツールを導入してしまうことが考えられます。部署ごとで最適なツールを導入すれば、その部署内では作業効率は上がったように感じるかもしれません。しかし、他システムとの連携を考慮しなければ、同じ情報をそれぞれの部署で何度も入力するなどの手間が増えることもあります。
経理部にはこの会計ツールが使いやすい、総務部にはこの管理ソフトがいい、など、各々の部署で場当たり的な便利さを優先すると、全社的に見ればかえって業務負荷が高まる可能性があります。
全社的な導入ポリシーが整っていない
部署ごとで勝手にツールを入れさせないためには、全社的なポリシーが必要です。ツールの導入ポリシーが整っていない企業では、部署ごとだけではなく、個人が勝手なツールを導入してしまう恐れがあります。このような状態をシャドーITと呼びますが、このシャドーITが増えれば、ツールやシステムの全貌把握は困難です。結果として、社内システムの乱立を引き起こす可能性が高まります。
レガシーシステムを放置する
老朽化した既存のITシステムのことをレガシーシステムと呼びます。このレガシーシステムを放置してしまうと、新旧のシステムが同時稼働する事態となり、社内システムの乱立を招く恐れがあるのです。情報処理推進機構(IPA)がまとめた『DX動向2025』によると、レガシーシステムの刷新状況は頭打ちの状況が続いているようです。

社内のレガシーシステムを放置しないためには、システム更改を検討することも重要です。
社内システムが乱立する5つのリスク
それでは、社内システムが乱立するとどのようなリスクがあるのでしょうか。5つ解説します。
二重入力・確認作業による現場負荷の増加
システムが乱立することでもっとも直接的な影響が出るのは現場です。ひとつのシステムで管理した方がよい情報でも、システムが乱立し、他システムと連携が取れていない場合は手作業で入力することになります。しかし、例えば顧客情報や商品情報などは、システムによって変わる情報ではありません。このような他のシステムとも共有できる情報をシステムごとに管理することは、二重入力、確認作業などの現場負荷を増やす原因になります。
もし入力に誤りが出れば、他システムと整合性が取れなくなり、ビジネスに悪影響を起こす可能性が高くなります。
情報の分散によるデータ管理の複雑化
システムが乱立すると、それぞれのシステムにそれぞれの情報を持つようになります。連携されていないシステム間で情報が分断され、データ管理が複雑になるのです。
例えば、ある顧客情報に変更があった場合、システムが乱立していれば、それぞれのシステムで情報修正が必要となります。また、複数のシステムが存在することで、どの情報が最新の情報なのか判断がつかなくなる可能性が高くなります。
セキュリティリスクの増加
社内システムが乱立すると、アカウント管理が複雑化し、情報漏洩や不正アクセスのセキュリティリスクが高まります。
例えば、利用していないアカウントが放置されやすくなったり、古いシステムをセキュリティ対応しないまま使用し続けたり、という状況が発生しやすくなるのです。
不要なアカウントの放置、セキュリティの更新がされていないシステムは、サイバー攻撃や不正ログインの対象となります。社内システムの乱立は、単なる業務効率の問題ではなく、企業全体のセキュリティリスクにも直結する課題です。
管理・維持コストの増加
システムを安心・安全に運用するには、
- アカウント管理
- セキュリティ更新
- 障害対応
- ベンダーとのやり取り
- 利用状況の確認
など、継続的な運用管理が必要です。
しかし、システム数が増えるほど管理対象も増えるため、システム担当者の負担が大きくなります。
また、システムごとに
- ライセンス費用
- 運用保守費用
- クラウド利用料
- サポート契約費
も発生する場合も多いため、不要なシステムを放置するとコスト増加につながります。
特に、利用頻度が低いシステムや、同じような機能を持つツールが複数存在している場合は注意が必要です。
データ活用・DX推進の停滞
社内システムが乱立していると、DX推進の停滞を招く恐れもあります。
情報処理推進機構(IPA)がまとめた『DX動向2025』によると、「事業部門・部署ごとに利活用している」が日本企業は36%とアメリカやドイツに比べ、高い水準に留まっています。部門・部署ごとでデータが独立してしまい、全社状況を経営層が把握できないのが現状です。

DXには、全社視点でのデータ分析による業務改善が欠かせません。部門横断的なデータ活用ができない状況は、DX推進を停滞させる原因となります。
社内システムの乱立を解決するための7STEP
社内システムの乱立を防ぐには、不要なシステムは廃止し、必要なシステムは残す、システムの統廃合です。ここでは、具体的な解決手順を7STEPで解説します。
STEP1:社内システムを棚卸しする
最初に取り組むべきことは、社内システムの棚卸です。母数がわからない状態ではどのシステムが必要か不要かの判断もできません。社内にあるすべてのシステムを棚卸しましょう。
しかし、情報システム部門だけで棚卸しを行うのには限界があります。各部門ごとに棚卸をしてもらい、情シス部門などが情報をまとめる方法をとりましょう。
重要なのは「どの部門・部署が」「なんのために」「どれぐらいの頻度で」そのシステムを利用しているかわかるようにすることです。
STEP2:業務フローと課題を整理する
棚卸が終われば現状の業務フローを整理します。部門が違うだけで似たような業務があれば、ひとつのシステムに統合できるかもしれません。
例えば、営業部門と在庫管理部門がそれぞれ似通った顧客管理システムを持っている場合、同じシステムを利用できればシステム管理・維持のコストを浮かすことが可能です。
また、業務フローの整理と同時に、それぞれのシステムが抱えている課題を洗い出しましょう。手入力に時間がかかる、データの形式がバラバラで扱いにくいなど、システムの仕組みによって解消できる課題は、社内システムの乱立と一緒に解消してしまうのがおすすめです。
STEP3:維持・改修・統合・廃止を判断する
社内システムの棚卸しと業務フローの整理が終わったら、それぞれのシステムを維持、改修、統合、廃止に振り分けましょう。
維持:現状のままシステムを利用します。業務への影響の少ない範囲から、ステップをわけて統合・廃止・連携を進めましょう。不具合があった場合に元に戻すかどうか、チェックポイントを置いておくことも重要です。
使用する部門が多く頻度も高い場合、業務課題がなければそのままで問題ありません。
改修:既存システムに一部改修を加えます。使用する部門が多く頻度も高いものの、課題がある場合は改修する方向で検討しましょう。
統合:他の既存システムと統合します。利用者の多い少ないにかかわらず、他の部門でも類似のシステムがある場合は、積極的に統合を検討しましょう。
廃止:システムの使用をやめます。使用する部門が少なく、頻度も低いものは乱立化を避けるために廃止にするのがおすすめです。ただし、頻度が低いものの、このシステムでしか実施できない業務がある場合は廃止してはいけません。廃止の判断は慎重に行いましょう。
STEP4:データ・運用ルールを統一する
各部門・部署で独立していたシステムを統合するには、データの入力ルール、システムの運用ルールを統一する必要があります。
データであれば、例えば日付(”2026/05/14”、”2026年5月14日”、”R8/5/14”など)や、電話番号(ハイフンあり、なし)など細かい入力ルールを決めましょう。運用ルールにおいても、顧客情報は必ず顧客管理システムから修正し、売上管理や配送管理など各々のシステムでは修正しない、といったルールが必要です。
これらのデータ・運用ルールは、システムの仕組みである程度制御ができます。
STEP5:全社視点でシステムを再設計する
STEP3で決めた方針をもとに、全社視点でシステムを設計します。データやシステム間の連携をどうするか、どのように連携すればスムーズかを検討するのです。
統合するシステムは統合後に不具合が出ないように慎重に設計する必要があります。特に誰にどこまでの情報を見せるか、という権限管理は重要です。システムを統合するということは、さまざまな部門の人が同じシステムを利用する機会が増えることでもあります。
営業部員が見るべき売り上げの数字を、製造部員も見てよいか。管理職がみる人事評価を、一般社員が見てよいか。権限設定についても全社的な視点で確認をしましょう。
しかし、この作業は非IT人材だけでは困難である場合も多いです。必要に応じてプロの外部委託も検討しましょう。
STEP6:段階的に統合・連携を進める
設計が済むといよいよシステム化を行います。ここで重要なのが急激な統合・廃止・連携を進めないことです。すべてのシステムを一気に変えてしまうと、なにかしらの不具合があった場合に元に戻すことが困難となります。
STEP7:定期的に見直し、PDCAを回す
システムの統廃合後は、想定通りに業務が回っているかの確認が必要です。統廃合による不具合が出ていないか、現場での使い勝手はどうか、もっと改善できることはないか。PDCAを回し確認していきましょう。
社内システムの乱立解消で失敗する原因
ここでは、社内システムの乱立解消の過程で失敗する原因を紹介します。予め知ることで、自社の社内システム乱立の解消にお役立てください。
部門間の調整不足
社内システムは、部署ごとに利用目的や業務フローが異なります。一部の部署だけでシステム整理や統合を進めると、多くの部門では使われないものの、とある部門では必須な機能がなくなってしまったり、他部署とのデータ連携が考慮されていなかったりという問題が発生しやすくなるのです。社内システムの整理・統合を進めるには、影響のある部署間での調整が必須となります。情報システム部門などが中心に旗振りをしつつ、丁寧に調整を進めましょう。
現場へのヒアリング不足
実際にシステムを利用するのは現場担当者です。現場業務を十分に把握しないままシステム統合を進めると、必要な機能が不足したり、実際の業務フローにあわなかったりと、かえって作業負荷が増える恐れがあります。
システム乱立の解消は、情シスや経営層だけで判断するのではなく、現場部門も含めた全社的な調整が重要です。現場を巻き込んで、実際のシステム利用者の声をしっかりヒアリングしましょう。設計書やフローのレビューをするのもおすすめです。
急激な移行による混乱
社内システムの乱立解消では、短期間で一気にシステム移行を進めた結果、現場が混乱するケースがあります。
システム統合による移行には十分時間をかけ、現場の混乱を招かない配慮が必要です。現場の利用者に対して新しいシステムの説明会を設けたり、不明点を質問できる窓口を用意したりとフォロー体制を充実させましょう。
こういった準備を怠ると、現場の不満が高まり、旧システムを使い続けてしまったり、独自運用のツールが残ったままになってしまいます。
自社だけで進めるのが難しいと感じたら
社内システムの乱立は、単純にシステムの数を減らせば解決する問題ではありません。各部門の業務内容や利用状況を整理しながら、どのシステムを残し、どのように連携・統合していくべきかを判断する必要があります。
しかし、現状調査や業務整理、関係部署との調整、将来を見据えたシステム設計までを自社だけで進めるのは簡単ではありません。特に、長年運用してきたシステムが複数存在する場合は、影響範囲の把握や移行計画の策定にも専門的な知見が求められます。
当社フレシット株式会社では、現状の業務やシステムの棚卸しから課題整理、要件定義、システム開発、移行支援まで一貫して対応しています。パッケージ製品ありきではなく、お客さまの業務に合わせたフルスクラッチ(オーダーメイド)開発を行うため、既存システムとの連携や段階的な統合にも柔軟に対応可能です。
「システムが増えすぎて全体像が見えない」「どこから整理すればよいかわからない」といったお悩みがありましたら、ぜひ当社フレシット株式会社までお気軽にご相談ください。
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監修者プロフィール
フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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