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COLUMN コラム詳細

【マツダの「脱Excel」に学ぶ】Excel管理の限界とは?複数ファイルへの転記・更新作業を業務システムでなくす方法

Excelは便利だからこそ、業務の限界まで使われ続ける

2026-10-01

多くの企業で、Excelは日々の業務に欠かせないツールとして利用されています。

見積管理、受発注管理、売上管理、在庫管理、案件管理、生産管理、顧客管理など、Excelで管理されている業務は少なくありません。導入のハードルが低く、担当者自身で項目や計算式を追加できるため、業務の変化にも柔軟に対応できます。

一方で、事業や組織の成長に伴って管理する情報が増えると、「Excelで管理できてはいるものの、業務に多くの手間がかかっている」という状態に陥ることがあります。

その一例が、マツダの車両開発における「脱Excel」の取り組みです。

マツダでは、車両開発で扱うデータの管理方法を見直し、Excel中心の管理からデータを一元管理する方法への移行を進めています。

従来は、エンジニア1人が数百にも及ぶExcelシートを管理し、シート間の情報連携もコピー・アンド・ペーストなどの手作業に頼っていました。情報が変更されれば関連するシートにも修正が必要となり、不具合が発生した際には原因や影響範囲の確認にも多くの時間を要していました。こうした情報管理作業が、開発業務の約6割を占めていたとされています。

これは自動車開発という大規模な業務に限った問題ではありません。同じような状況は、Excelを使って受発注、在庫、案件、顧客、生産などを管理している企業でも起こり得ます。

Excelファイルが増え、転記やコピー・アンド・ペースト、更新内容の確認に多くの時間を使っているのであれば、「Excelをどう使いこなすか」だけではなく、「業務システムに置き換えるべきか」という視点で考えることが重要です。

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【記事要約】マツダが「脱エクセル」、データ一元化で開発効率化とAI活用を推進

マツダは、車両開発におけるエクセル中心の情報管理を見直し、開発データの一元管理を進めている。従来はエンジニア1人が数百ものシートを扱い、情報の更新や連携をコピー・アンド・ペーストなどの手作業に依存。変更時の修正や不具合発生時の影響範囲の確認にも時間を要し、情報管理に開発業務の約6割が費やされていた。新たな管理ツールでは、要求や設計、試験などの情報をまとめて管理し、変更の影響も追跡しやすくする。さらに、データを整理・集約することでAIが学習や検索に利用しやすい環境を整え、開発業務におけるAIの活用範囲を広げる狙いもある。

出典:日本経済新聞「マツダ、脱エクセルで車開発短く データ管理を一元化 搭載ソフト更新にらむ」2026年9月7日付朝刊

ポイントをひとことで

システム化で大切なのは、今あるExcelをそのまま置き換えることではなく、人が何度も入力・転記・確認している作業を見つけ、そもそも必要かを見直すことです。現状の業務をそのままシステムにすると、手作業の負担まで引き継いでしまいます。システム投資の効果を高めるには、「何を作るか」より先に「どの作業をなくすか」を決めることが重要です。一度入力した情報を繰り返し使えるようにし、人は判断や顧客対応など、人にしかできない仕事に時間を使えるようにする。この視点が、業務システムを設計するうえで重要です。

Excel管理の問題は「ファイル数」だけではない

Excel管理の限界というと、「ファイルが増えすぎて管理できない」という問題をイメージしがちです。

しかし、本当に考えるべきなのはファイルの数ではありません。

重要なのは、同じ情報を複数の場所で管理していることです。

例えば、営業部門で「顧客管理表」「案件管理表」「見積管理表」「受注管理表」「売上管理表」といった複数のExcelファイルを使用しているとします。

顧客から案件を受けると、顧客管理表から会社名や担当者名を案件管理表へ入力します。見積書を作成するときには、案件管理表の情報を見積管理表へ転記します。受注後には、さらに受注管理表や売上管理表へ同じ情報を入力します。

それぞれのExcelファイルだけを見れば問題なく管理できていても、業務全体では同じ情報を何度も入力していることになります。

さらに、顧客名や案件内容、金額などに変更があれば、関連するExcelファイルもそれぞれ修正しなければなりません。

Excel管理の限界は、ファイルが多いことよりも、こうした「情報を人がつないでいる状態」に表れます。

コピー・アンド・ペーストは小さな作業でも積み重なる

ExcelからExcelへのコピー・アンド・ペーストは、一回だけなら数秒で終わります。

そのため、業務改善の対象として見過ごされやすい作業でもあります。

しかし、1日に何十回、何百回と行われ、それを複数の担当者が毎日繰り返しているとすれば、会社全体では大きな業務負担になります。

さらに問題なのは、コピー・アンド・ペーストそのものにかかる時間だけではありません。

「最新のファイルはどれか」「この数字は更新されているか」「別の管理表にも反映したか」「誰が最後に変更したのか」「元の情報はどこにあるのか」といった確認作業も発生します。

転記ミスや更新漏れが起きれば、その確認や修正にも時間が必要です。

つまり、手作業による情報連携では、「入力する時間」「確認する時間」「間違いを直す時間」が継続的に発生します。

担当者が慣れているため問題なく業務が回っているように見えても、その裏側で多くの時間が情報管理に使われている可能性があります。

「同じ情報を何度も入力している」はシステム化を検討するサイン

Excel管理を業務システムへ移行するかどうかを判断する際、分かりやすい基準の一つが「同じ情報を何度入力しているか」です。

例えば、顧客から注文を受けた際に、担当者が顧客名、商品名、数量、金額、納期などを受注管理表へ入力したとします。

その情報を在庫管理表、出荷管理表、請求管理表、売上管理表などへ再び入力しているのであれば、業務システムによって改善できる可能性があります。

業務システムでは、一度登録したデータを複数の業務で利用できます。

受注情報を登録したら、その情報を基に在庫を確認し、出荷処理を行い、請求データを作成するといった流れを実現できます。

担当者がExcelファイルとExcelファイルの間をつなぐ必要がなくなるのです。

重要なのは、単に「ExcelをWeb画面に置き換えること」ではありません。

現在、人が転記したり確認したりしている情報の流れそのものを見直すことが、業務システム化の目的です。

情報を一元管理すると「どれが正しいのか」が明確になる

Excel管理では、同じ情報を複数のファイルに保存しているケースがあります。

例えば、ある商品の価格が変更されたにもかかわらず、商品管理表では新価格、見積管理表では旧価格のままになっていれば、どちらが正しい情報なのか確認しなければなりません。

担当者ごとにExcelファイルを保存している場合は、さらに判断が難しくなります。

「最新版.xlsx」「最新版_修正.xlsx」「最新版_最終.xlsx」といったファイルが増えてしまった経験がある方もいるでしょう。

業務システムで情報を一元管理すれば、参照するデータを統一できます。

商品価格を変更すれば、そのデータを利用する画面や処理にも最新情報を反映できます。

顧客情報についても同様です。住所や担当者、契約条件などを一元管理することで、営業担当者と管理部門が別々のExcelファイルを更新する必要がなくなります。

「情報を入力する場所」と「正しい情報を確認する場所」を明確にできることは、業務システム化の大きなメリットです。

更新漏れや転記ミスは「注意する」だけではなく仕組みで減らす

Excelによる手作業が多い企業では、ミスが発生すると「入力時に注意する」「確認を徹底する」「ダブルチェックする」といった対策が取られることがあります。

もちろん確認作業は重要です。

しかし、人が同じ情報を何度も入力する業務が残っている限り、転記ミスや更新漏れを完全になくすことは困難です。

そこで考えたいのが、「ミスをしないように注意する」のではなく、「そもそも転記しなくてもよい業務にできないか」という発想です。

例えば、受注情報から請求データを作成できれば、担当者が請求管理表へ同じ内容を再入力する必要はありません。

在庫数をシステム上で管理できれば、担当者が複数のExcelファイルを確認して在庫数を集計する作業も減らせます。

人の注意力に頼るのではなく、人が行っている作業そのものを減らすことが重要です。

Excelを完全になくす必要はない

「脱Excel」という言葉から、すべてのExcel業務をシステム化しなければならないと考える必要はありません。

Excelには、自由に表を作成できる、計算や集計が簡単にできる、その場で内容を変更できるといった優れた特徴があります。

一時的な集計や分析、個人で完結する管理などでは、業務システムを開発するよりExcelを使った方が効率的な場合もあります。

問題になるのは、複数の担当者や部門が関わり、同じデータを継続的に利用する業務です。

特に、同じ情報を複数のExcelファイルへ入力している、コピー・アンド・ペーストが日常業務になっている、ファイルを更新すると別のファイルも修正する必要がある、担当者によって管理方法が異なる、最新版のファイルが分からなくなることがある、転記ミスや更新漏れが発生している、といった状況は注意が必要です。

また、担当者しかファイルの使い方を理解していない、集計や確認に毎月多くの時間がかかっている場合も、業務システム化を検討するタイミングと考えられます。

Excelをなくすこと自体を目的にするのではなく、「Excelに任せる業務」と「システムで管理する業務」を分けることが大切です。

パッケージでは対応しにくい業務にフルスクラッチという選択肢

Excelで長年管理されてきた業務には、その会社独自のルールや業務フローが反映されていることがあります。

例えば、見積承認の方法、案件ごとの原価計算、在庫の引当方法、顧客別の価格設定、請求タイミングなどです。

こうした業務をシステム化する場合、市販のパッケージやSaaSに業務を合わせる方法もあります。

一方で、自社独自の業務が競争力につながっていたり、既存システムとの複雑な連携が必要だったりする場合には、既製のシステムでは対応しにくいことがあります。

その場合に選択肢となるのが、フルスクラッチ(オーダーメイド)の業務システムです。

フルスクラッチでは、現在使用しているExcelファイルをそのままシステムへ移すのではなく、「なぜこの情報を入力しているのか」「誰がどのタイミングで使うのか」「別の業務でも同じ情報を利用できないか」と整理しながらシステムを設計できます。

Excelを置き換えるだけではなく、転記、二重入力、確認、集計といった手作業を含めて業務を見直せる点が重要です。

Excelから業務システムへ移行するときは現場業務の整理が重要

Excel業務をシステム化するときに、いきなり開発を始めるのはおすすめできません。

まず行うべきなのは、現在のExcelファイルと業務の関係を整理することです。

誰が入力しているのか、どの情報を管理しているのか、どこから情報を取得しているのか、入力後に誰が利用しているのか、どのExcelへ転記しているのかを確認します。

すると、一見別々に見えていたExcelファイルが、実際には同じ情報を繰り返し利用していることが分かる場合があります。

そのうえで、「一度入力すればよい情報」「自動で連携できる情報」「システムで計算できる情報」「人が判断すべき情報」を切り分けます。

ここまで整理してからシステム開発会社と要件を検討することで、単なるExcelの置き換えではなく、業務負担そのものを減らすシステムにつなげやすくなります。

まとめ

Excelは手軽で柔軟性が高く、多くの業務で有効なツールです。一方、事業の成長や業務の複雑化によってファイルが増えると、コピー・アンド・ペースト、二重入力、更新内容の反映、最新版の確認など、本来の業務とは異なる情報管理に多くの時間を取られるようになります。

特に注意したいのは、Excelファイルの数ではなく、「人が情報と情報をつないでいる状態」です。

同じデータを複数のExcelへ入力したり、一つの情報を変更するたびに複数ファイルを修正したりしているのであれば、業務システム化によって改善できる可能性があります。

大切なのは、Excelをなくすことではありません。

Excelが適している業務は残しながら、複数の担当者や部門で共有する情報は一元管理し、転記や二重入力などの手作業を減らしていくことです。

業務システムを検討する際には、現在使っているExcelをそのまま画面に置き換えるのではなく、情報がどこで生まれ、誰が利用し、どこへ引き継がれているのかを整理する必要があります。

「人がExcelをつないで業務を回す状態」から、「必要な情報が自然につながる状態」へ変えていくことが、業務システム化による本質的な改善につながります。

さいごに

Excelによる管理は手軽に始められる一方、業務が拡大するにつれてファイルが増え、転記や二重入力、更新漏れ、確認作業などの負担が大きくなることがあります。こうした課題を解決するためには、単にExcelをシステムへ置き換えるのではなく、現在の業務を整理し、「どの情報を一元管理するのか」「どの作業をなくせるのか」まで考えることが重要です。

当社フレシット株式会社では、フルスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発を専門としており、お客様ごとの業務内容や運用方法を理解したうえで、必要な機能やデータの管理方法を検討します。

特に、複数のExcelへの転記が日常化している、独自の業務ルールが多くパッケージやSaaSでは対応しにくい、既存システムとの連携が必要といったケースでは、フルスクラッチだからこそ業務に合わせたシステムを実現できます。

「Excelをシステムにしたい」というご要望だけでなく、現在の業務のどこに無駄があり、どの作業をシステムで減らすべきかという段階から整理することが大切です。当社では、現場で実際に行われている業務を丁寧に確認し、転記や確認のために人が時間を使う状態から、必要な情報を一元管理できる業務への移行を支援します。

Excel管理に限界を感じている場合や、自社の業務に合ったシステムを一から作りたい場合は、当社フレシット株式会社へお気軽にご相談ください。

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著者プロフィール

フレシット株式会社 代表取締役 増田順一
柔軟な発想でシステム開発を通して、お客さまのビジネスを大きく前進させていくパートナー。さまざまな業界・業種・企業規模のお客さまの業務システムからWEBサービスまで、多岐にわたるシステムの開発を手がける。一からのシステム開発だけでは無く、炎上案件や引継ぎ案件の経験も豊富。システム開発の最後の砦、殿(しんがり)。システム開発の敗戦処理のエキスパート。

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