セールスフォースの導入事例から学ぶ──なぜ多くの企業がつまずくのか

本事例の概要
こちらの企業では、顧客管理や営業活動の効率化を目指し、Salesforce(セールスフォース)を導入しました。しかし、実際に運用を始めると、画面の分かりにくさや入力・管理の負担が大きく、社内で十分に活用されないという課題に直面しました。
こうした経験から、システムを導入するだけでなく、自社の業務や現場の使いやすさに合った仕組みを整えることの重要性を感じるようになったといいます。
今回は、同社の代表取締役のK様に、当社代表の増田がインタビューを実施。
Salesforceの導入後に直面した課題から、自社に合ったシステムの形について詳しくお話を伺いました。
導入したのに使われない。現場が迷うセールスフォースの画面
──セールスフォースについて、社員の方が使いにくいと感じた理由は何だったのでしょうか。
一番大きかったのは画面の分かりにくさです。直感的に操作できず、デザインも古い印象がありました。
シンプルなCRMツールであればすぐに使いこなせますが、セールスフォースは機能が多い分、ボタンや階層が多くて迷いやすいんです。現場の社員からすると「どこを押せばいいのか分からない」状態になりがちでした。
──なるほど。UIが古臭く直感的でないということですね。
データを入力するだけなら難しくありません。
ただ、レポート画面を作ったり、データを組み合わせて活用したりするのは簡単ではありませんでした。以前は、社員にアドミン(管理者)資格を取らせないと、まともに活用できないほどでした。
使いこなすにはデータベースの知識が必要。中小企業には重い管理の負担
──自由度が高い分、扱う側にも知識が求められるということでしょうか。
そうです。データベースの考え方を理解していないと、うまく使いこなせません。
kintoneのようなノーコードツールと違って拡張性は高いのですが、知識がない人にとっては、かえって扱いづらくなります。大企業であれば専任の管理部隊を置けますが、中小企業にとってはその負担が大きいと感じました。
作り込むほど複雑になり、直すたびに費用がかかる
──カスタマイズを進めると、どのようなことが起きましたか。
作り込めば作り込むほど画面が複雑になり、最後には誰も触れなくなってしまいます。
直したいと思っても自社では対応できず、外部に頼むしかないので、そのたびに費用がかかります。そのうえ、1ユーザーあたりのライセンス費用が高いので、社員が多いほど毎月のコストも膨らんでいきます。
「導入はしたけれど、うまくいかなかった」と感じている企業は、決して少なくないと思います。
「免許取り立てでフェラーリを買うようなもの」
──振り返ってみて、根本的な原因はどこにあったとお考えですか。
私はよく「免許を取ったばかりでフェラーリを買うようなもの」と例えています。
セールスフォースは600馬力のエンジンを積んだ車のように高性能です。しかし、日常の業務でそこまでの性能が必要な場面はほとんどありません。多くの社員にとっては時速60kmで走れれば十分で、明らかにオーバースペックでした。
──確かに、現場の社員が本業を抱えながら超高性能ツールを使いこなすのは現実的ではありませんね。
本業を抱えた現場の社員が、超高性能なツールを使いこなすのは現実的ではありません。
結局は外部に頼ることになり、コストもさらに増えていきます。セールスフォースが優れたツールであることは間違いありませんが、誰にとっても使いやすいわけではないということです。
現場は使いやすいツール、全体をつなぐ仕組みはフルスクラッチで
──では、どのような形が現実的だとお考えですか。
現場で使う部分は手頃な既存のSaaSを入れて、それぞれをAPIでつなぎます。一方で、全体を管理する基幹のシステムはフルスクラッチで作ります。これが最も現実的で、費用対効果も高いと考えています。
例えば、名刺データの読み取りやスマホからの簡単な入力は既存のサービスに任せます。それらをまとめて管理する仕組みは、自社専用に作るという分け方です。
──つまり「現場は使いやすいツール」「統合はフルスクラッチ」というハイブリッド型の発想ですね。
その方が社員の負担が少なく、結果としてシステム全体が活きると思います。
「AIで誰でも作れる」は本当か。これからシステムを選ぶ企業へ
──最近は「ローコードやAIで誰でもアプリが作れる」と言われますが、どう思われますか。
データベースの考え方を理解していない人がシステムを作るのは、難しいと思います。もし理解できているなら、そもそもセールスフォースを最初から使いこなせているはずですから。
だからこそ、現場に任せきりにするのではなく、専門家がきちんと設計した自社専用の仕組みを作る方が現実的だと考えています。
──まさにその通りですね。
おわりに
セールスフォースは世界的に評価の高いプラットフォームであり、確かに大企業や専門部隊を持つ組織にとっては強力な武器となります。しかし、多くの中堅・中小企業にとっては「複雑すぎて使いこなせない」「コストばかりかかる」という事例が後を絶ちません。
重要なのは「自社にとって本当に必要な機能は何か」を見極め、それを最適な形でシステム化することです。全てを一つの巨大なツールに任せるのではなく、現場はシンプルなツールで、統合や基幹部分はフルスクラッチで作る。その柔軟な発想こそが、同じ過ちを繰り返さないための鍵になります。
フルスクラッチ開発は単なるシステム構築ではなく、企業ごとの業務特性や現場の運用実態を丁寧に反映させることができます。フレシット株式会社では、要件定義から設計、開発、運用に至るまで一貫して伴走し、既存のSaaSやパッケージの弱点を補いながら長期的に安心して活用できる基盤を提供します。セールスフォース導入で思うような成果が得られなかったご担当者さまも、当社のフルスクラッチ(オーダーメイド)開発によって、自社に本当に合ったシステムを構築する一歩を踏み出してみませんか。

フレシット株式会社 代表取締役 増田 順一